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ヒアリングから始める住まいづくり
平日は何時に起き、身支度が先か食事が先か。
慌ただしい朝の時間はなるべくスムーズに過ごしたいものです。
休日はどんな趣味をどのように楽しむのか?
そんな住まい手の日常に寄り添ったところから設計はスタートします。
家族のそれぞれの動きを具体的にイメージし
プラン上でその動きをなぞりながら動線がスムーズに流れるよう線を
重ねていきます。
これを繰り返すうちに、比較的人の動きが少ない
「場所」が見えてきます。
それが今回のポイントプラン上の「脇道空間」です。
「脇道空間」とは高速道路のパーキングの様な動線上にあるちょっと
休める道路脇の空間。
場所が目的地になるリビングやダイニング、
個室のような存在ではなく、そこに向かう途中のちょっとした
スペースのことです。
例えば、リビングと個室をつなぐ廊下の半畳のくぼみ。
階段の途中のちょっと広めの踊り場。道路の窓際空間。
そんな「脇道空間」に、腰掛けを置いてみる。
サイドテーブルくらいの棚があれば、コーヒーと本が持ち込めます。
今の住まいの中でも、少しの工夫でできることかもしれません。
これをプランニングの時から、積極的に取り込んで行くと「脇道空間」
も立派な居場所になります。
道路の中庭に面した大きな窓。本来は日射を取る目的ですが
これを、窓枠を少し幅広にすれば、簡単な背もたれと腰掛になります。
これだけで、通路の窓枠が気持ちのいい窓際空間となります。
好みの本を収納できる小さな本棚を作るのも、居場所が自分だけの
特別な場所になる要素ではないでしょうか。
こんな工夫が「脇道空間」を充実させ、単に通過する場所ではなく
「気持ちのいい居場所」となるのではと考えています。
リビングやダイニングといった大きな居場所の他に
自分だけのお気に入りの場所ができることは、
住まいの中で「居場所」の色々な選択肢ができることであり
長時間いることになった時も、「ちょっとした息抜き」の
いい気分転換の場所になるのではないでしょうか。
この居場所の充実度を上げるために窓はとても有効で
窓の向こうに大小問わず緑があれば、季節感や
天気の移り変わりで時間を感じることもできます。
雑誌 「だん」より引用